タナトフォビアが怖いもの

タナトフォビアは「死」が怖い

それは共通していますが、「死」の一体何が怖いのか?それは人によって様々です。

タナトフォビアを持つ色々な方にお話を伺って、毎回新しい発見があり、タナトフォビアって本当に奥深いんだなと実感している今日この頃です。

皆さんは、自分が「死」の何が怖いのか、考えたことはありますか?

この記事では、タナトフォビアの怖いものの深堀りをしてみたいと思います。

目次

  1. タナトフォビアは結局何が怖いのか
  2. タイプ① 死に至る過程が怖い
  3. タイプ② あの世が怖い
  4. タイプ③ 永遠の無が怖い
  5. 付随して怖いもの色々

1.タナトフォビアは結局何が怖いのか

タナトフォビア(死恐怖症)のある方は、何が怖いのか?

死の何が怖いのかを深堀すると自分自身の「死生観」や「世界観」が立ち現れてきます。そして、世界観とは切っても切り離せない宗教についても出てきます。

日本人は約8割弱が自分自身のことを「無宗教である」と答えます。神を信仰していない人がとても多いです。

その一方で、初詣には神社に参拝に行ったり、クリスマスを祝ったり、七五三やお盆のお墓参りといった、宗教に紐づくイベントもきちんと行う人が多いです。

誰かが亡くなると「あの世から見守っていてね」「来世でまた会おう」とか、最近ではゲームやドラマでも「もしも転生したら」などの輪廻転生ものが沢山存在します。

知らず知らずのうちに、宗教に紐づく文化的な影響を受けているのもまた事実です。

それでも、「私は無宗教である」と答える日本人がこれだけいる国では、宗教の影響の少ない「死」についての考え方があるような気がしています。

そして、そんな日本人だからこそ、世界中で最も死を恐れる人々だと指摘した研究者もいます。

そんな死の恐怖の根源には3つのタイプがあります。

2.タイプ1 死に至る過程が怖い

1つ目のタイプは、「死に至る過程」が怖いタイプです。

これは、死にゆく過程とも言えますが、自分の最期の時は苦しいのだろうか?痛いのだろうか?といったことを考えるととても怖いというタイプです。

誰しも一度は、「ピンピンコロリ」「大往生」がいいなと考えたことはないですか?

最後まで現役でバリバリ仕事をしたり、日常生活を楽しんで、家族に迷惑をかけずにスッといなくなりたいと考える人も多いと思います(実際には、終活をしっかりやっていないと、突然の死は家族にやってもらうことが色々あるとは思いますが)。

自分の死にゆく過程がどのようなものなのか、気になりますよね?

そんな死にゆく人々がどんな過程を経るのかを研究した第一人者がアメリカの精神科医エリザベス・キューブラー・ロスです。

『死ぬ瞬間』という大ベストセラーは、当時の医学界に衝撃を与えました。そこからターミナル・ケアという考えが広まり、死にゆく過程のケアが人々には必要だという認識が世界中に広まったのです。

死の過程の心理は5段階を経る…とキューブラー・ロスは明らかにしています。その詳しい話は、別記事でまとめたいと思います。

終末期は身体的な痛みが出る人が多いというイメージがあると思います。実際に、がん性疼痛など疾患に伴う痛みは存在します。ですが、痛みのコントロールもなされるようになっており、大学病院などではペインコントロールの専門外来を置いているところもあります。

モルヒネ等の薬物治療を併用して、最大限痛みを取る工夫が取られています。その際には、痛みを取るために鎮静をかける必要がある場合もあり、意識レベルを落としても痛みを取る方向で治療をするか、あるいは意識はクリアに保っていたいから多少の痛みは我慢するか、選択を迫られることもあります。

そちらについても、いずれ終末期医療として記事を書いていきたいと思います。

とりあえず、死の怖いもののタイプの1つとして「死に至る過程が怖い」の紹介でした。

3.タイプ2 あの世が怖い

皆さんは、死んだらどうなると思いますか?

タナトフォビアのある方にとってはもしかすると怖い質問かもしれません。

タイプ2の方は、死んだら「あの世」という何かしらの場所があると考えている方です。

「あの世」が例えば「天国」なのか「地獄」なのか、「楽園」のような場所なのか、色々な世界観を持っている方がいると思います。

いずれにしても、その「あの世」がどんな場所なのか、まだ生きている私たちにはうかがい知ることのできない世界です。

そこがどんな場所なのか、天国と地獄があるとして自分はどちらに振り分けられるのか、自分が死んだ後に過ごす世界が怖いというのがこのタイプです。

生きていれば、不可抗力とはいえ人に迷惑をかけてしまった経験や悪いことをしてしまったことは一度ならずあるでしょう。聖人君子のように一度も悪いことをしたことがないという人はいないと思います。

自分の心に手を当てて、私はあの世で天国に行けるだろうか?と考えた時、不安がよぎる、そんなこともあるでしょう。

また、人は見たことのないもの・経験したことのないことに不安を覚える生き物です。死後の世界はこうです!!!と証明されたものはありません。その不確実性が人々に不安と恐怖を与えるのだと思います。

4.タイプ3 永遠の無が怖い

3つ目は、「永遠の無」が怖いタイプです。

ちなみに筆者はこのタイプ、おそらくタナトフォビアの多くはこのタイプなのではないかと考えています。

無宗教で、科学的にこの世界を捉えてしまう人、そんな人がこのタイプになりやすい。唯物論的にこの世界を捉える人とも言えます。

宇宙発生の起源は分からないけれども、偶発的にこの宇宙空間が誕生して、莫大な月日を経て今の状態になった。それ以上でもそれ以下でもない。だから、生命は偶然生まれたら、必然死ぬだけ、と考える。

そして、死んだらそこで終わる。人間だったら、水蒸気と塵になる。土に還る。それ以上でもそれ以下でもない。

そう捉えて、自分という意識(自我)が無くなるのが怖いと考えるタイプです。

永遠にその後自分という存在は出現しないのだと考えると怖くなる(今も書きながら少し怖い)、共感してくださる方も多いのではないかと思います。

無宗教であるがゆえの怖さとも言えるかもしれません。

付随して怖いもの色々

死の恐怖の根源は、おそらく上記3タイプに集約されるのではないかと思います。

もしも、全く違うよという方がいらっしゃったらご連絡ください!

それとは別に、タナトフォビアは「死」が怖いので、死を連想させるもの、死のリスクがあることに対しても、強い恐怖を感じます。

例えば、私の場合だと、

  • 宇宙(宇宙関連のテレビ番組とかも)
  • 深海

は、死の恐怖を連想させるため怖いときがあります。深く宇宙について考えようとすると、思考をストップさせてしまいます。

それ以外にも、これまでお話を伺った方からは、下記のようなものがあがりました。

  • 高い山(足元を見ると怖い)
  • 電車
  • 飛行機
  • 新幹線
  • ジェットコースター
  • 水族館(ガラスが割れたら死ぬなと考え、怖い)
  • 『タイタニック』や『火垂るの墓』など事故や戦争で人が亡くなる映画

飛行機が怖いという方はかなり多いです。飛行機という閉鎖空間で、自分では逃げようがないことが理由です。新幹線も同じ理由です。

私も、飛行機の離陸と着陸時は「無事に飛び立ちますように」「無事に着陸しますように」とついつい祈ってしまいます。

怖い方の中には、飛行機事故の際の生存確率を調べ、一番生存確率の高い席を予約するようにしている、という方もいました。

その他にも、私はこんなのが怖いよ!というものがありましたら、是非ご連絡いだたきたいです。ご感想もお待ちしています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA